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NPO法人グレースケア機構

東京都

制度にとらわれない「ニーズありき」のケアサービス

団体名・プロジェクト名

NPO法人グレースケア機構

NPO法人グレースケア機構の写真

活動エリア 東京都三鷹市・武蔵野市を中心に都下全域
ジャンル まちづくり 医療・福祉 

主な受賞歴や実績

2007年三鷹市ビジネスプランコンテストのコミュニティビジネス賞受賞
2010年独立行政法人福祉医療機構より「上質なケア人材を伸ばす指名制ヘルパー事業」助成
2015年NHKクローズアップ現代「介護職の働き方改革~人材確保の最前線」にて紹介

この活動について教えて下さい

NPO法人グレースケア機構は、トータルな在宅ケアの事業所です。事業の柱は、①ケアサービス、②相談サービス、③まちづくり活動の三つです。特に事業の中心である①ケアサービスは、乳幼児から子ども、障がい者、難病の人、高齢者まで、年齢や疾病、障がいを問わず、幅広い利用者の方のニーズに応えています。自費を中心に、介護保険や障がい者総合支援法などの制度も組合せた、柔軟なサービスメニューが特徴です。

具体的には、家事のサポートや通院の付き添い、旅行や趣味など娯楽のケア、買い物や諸手続きの代行、認知症の方の長時間・泊まりケアや医療的ケアなどがあります。ケアサービス事業では、「指名制」も導入しています。当団体には、介護・医療関連の資格以外にも、整理収納アドバイザー、調理師、鍼灸師、外国語検定、リフレクソロジストなど、多様な資格や特技を持つスタッフがいます。利用者の方は、所定の料金の20パーセント上乗せして支払うことで、自分のニーズに合ったヘルパーを指名することができます。指名制度は、利用者の満足度を高めるとともに、スタッフの「選ばれる」喜びと報酬のアップにもつながります。

②相談サービスでは、介護サービスのご利用や、施設・病院の選び方、ケアのセカンドオピニオン、在宅介護を続ける工夫、成年後見など、さまざまなご相談にお応えしています。③まちづくり活動では、地域の他のNPOや市民団体、行政と協働して、コミュニティカフェを運営したり、高齢者の聴き書き事業を行ったりなど、支えあいの体制づくりに取り組んでいます。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

当団体は、2008年に、介護や医療の現場で働いてきたメンバー10名で立ち上げた事業組織です。当初は、制度に頼らずに自費のケアサービスだけで運営していました。設立前にそれぞれが職場で感じていたのは、介護保険制度の限界です。利用者本人の暮らしにサービスを合わせるのではなくて、制度やサービスに暮らしの方を合わせなくてはならないような介護のあり方に疑問を持っていました。また、介護の人材不足の問題も切実でした。制度の枠のなかでは、利用者一人あたりをケアする時間が短く、内容も限られます。結果、報酬もずっと抑制されており、担い手が集まりにくい。人員が限られているため、施設などでは職員が疲弊し、「重労働・低賃金」イメージがはびこることで、さらに介護現場に人が集まらないという悪循環が続いています。

そのため、「制度ありき」の仕組みではなく、「ニーズありき」の仕組みを作ろうとしました。介護保険制度内にこだわらなければ、サービスの選択肢は増やすことができますし、付加価値の高いサービスを提供できる働き手は、それに見合った報酬とやりがいを得られます。そこで、自費サービスを中心とした事業所を開始しました。

ただ、利用者から介護保険と組み合わせて費用負担を抑えたいという要望もあり、2010年10月に介護保険、2011年4月に障害者総合支援法の指定も受け、今に至っています。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

難病の方の最後の旅行に付添うことができたり、施設や病院から抜け出て最期を家で看取るサポートができたり、認知症の方が関わり次第でゆったり穏やかに変わる姿を見られたりなど、ケアの専門職ならではの技能を活かしながら、利用者の方の大事な暮らしの一端を担うことができることがやりがいです。また、赤ちゃんからお年寄りまで、さまざまな個性をもった人たちの生活に寄り添うことができます。人によって、もっている困難や困りごとは違いますし、必要な対応も異なります。ご本人やご家族、ケアマネジャーや地域包括支援センター、医師や看護師、他事業者などといっしょに、相談したりカンファレンスを重ねたりしながら、一人一人のニーズに丁寧に応じた支援を介護職として提供できたとき、やりがいを感じます。

今後の夢と目標を教えてください

引き続き、介護の利用者も担い手も双方が満足でき、安心して暮らせる仕組み作りに取り組み、広げていきたいです。さらに、空き家を再生した住宅づくりが目標です。誰もが住み慣れた場所で、家族や顔なじみの人と共に、最期まで暮らせるように! 地域から離れた施設や病院ではなく、生活したい場を選べるようにしたいです。なにより本人が主人公となり、自費と制度を使ったサービス、地域のサポートを得しながら、共に考え、暮らしを作っていきます。

なお、現在、三鷹市を中心に、空き家・空きスペースを探しています!どんな情報でも、ご連絡をお待ちしております。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

今、メディア上の介護職のイメージは、「仕事が他にないから、仕方なく介護職をやっている」「主婦の片手間のアルバイト」といったものが多く見られます。しかし、当団体で働くスタッフは、「介護は魅力的な仕事」だと思っています。実際の現場では、「介護という仕事が好きで、できればライフスタイルとして選びたい」という、高い志をもった人もたくさんいます。また、介護という仕事は、競争や効率を重視する企業社会とは異なり、地域に根差したゆったりとした働き方にもつながります。ケアを利用する人は、それぞれ個性があり、生活している環境も異なりますから、介護する側の個性も活きます。だから、様々なタイプの人にこの業界に入ってきてほしい。そのために、待遇改善をはじめ、働き手がやりがいの持てる仕組み作りに尽力していきます。

実際にケアの担い手としてのほか、賛助会員として会費や寄付で団体の活動を支えて下さる方も歓迎です。少子高齢化のますますの進展で、介護や生活支援を行う人材や場所は圧倒的に不足しています。団体の取組みにご支援ご協力のほどよろしくお願いいたします。

取材者のコメント
古川勇樹 すでに多くの実績を積んでいることからもわかるように、制度にケアを合わせるのではなく、ケアを必要とする人の生活にケアを合わせていく、というこの団体の活動方針が、現代の高齢化社会で求められていることは明らかだ。飲食や服飾、アミューズメントなど他の多くのサービスと同じように、消費者がいくつもの選択肢から自由にサービスを組み合わせて受けられるような柔軟性が、ケアサービスにも増えていくことが望ましいと思った。そのためには、サービス提供者の待遇改善や人手不足解消が不可欠であり、「指名制」のような自由な発想の取り組みがきっかけとなって、突破口が開けることを期待したい。
団体・プロジェクトの概要
代表者 柳本文貴
住所 東京都三鷹市下連雀3-17-9
TEL/FAX TEL: 0422-70-2805 FAX: 0422-24-8307
お問い合せ office@g-care.org
URL http://www.g-care.org