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特定非営利活動法人原爆先生

東京都

子どもたちの興味を引き出す原爆の特別授業

団体名・プロジェクト名

特定非営利活動法人原爆先生

特定非営利活動法人原爆先生の写真

活動エリア 現時点では東京都内小学校が主体です。本年度後半から関東・東海地区に拡大予定です。
ジャンル その他 教育・学習支援 

主な受賞歴や実績

2013年 社会貢献学会奨励賞受賞

この活動について教えて下さい

私たちは、東京都の小学校で「原爆先生の特別授業」(以下「特別授業」という)を2009年から実施しています。特別授業とは、学校が外部に依頼して行う正規授業で、6年生を対象に2校時(90分)で行っています。これまで特別授業を実施した学校数はのべ500校ですが、この中には毎年連続して実施している学校が多くあり、正味の学校数は270校程度です。東京都には1300校以上の小学校がありますので、正味実施率は僅か20%程度です。言い換えれば80%の小学校は未実施校です。

特別授業の特色は以下です。

①子供たちに原爆や戦争について理解を求めるのではなく、子供たちに興味を持ってもらうことに努めています。興味を持った子供たちは自分で勉強し、勉強してはじめて理解できることになります。他人の話を聞くだけで理解できることなどあり得ません。

②子供たちに興味を持ってもらうための手法として、特別授業は従来型の被爆談ではなく、主人公(17歳の少年兵)が戦友(同世代の少年兵)と共にヒロシマの爆心地で活躍する物語を話します。

③特別授業の中で原子爆弾に関する多々のウンチクを話し、子供たちの興味を惹き立てます。このウンチクは子供たちにとって決して易しいものではなく、相当高度なレベルのウンチクを矢継ぎ早に繰り出します。これが子供たちの興味を駆り立てるのです。

現在の学校では、原爆や戦争を児童や生徒にどのように話すかが重要かつ困難な課題となっています。それは、非体験者が非体験者に原爆や戦争を話すことの戸惑いと障害が大きいからです。当NPO法人はこの課題を解決するために上記のような独自の特色をもって活動しています。この特色が功を奏し、現在では学校間の口コミによって特別授業の実施校が急増することになりました。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

当NPO法人の代表者・池田眞徳(以下「代表者」という)の父・義三(以下「義三」という)は、昭和19年に17歳で陸軍に入隊し、昭和20年8月6日早朝、軍命令を受けて広島に入り、爆心から3km地点で原子爆弾に遭遇しました。幸いにも無傷であった義三に再び命令が発せられ、同日夜は広島市内の消火作業に従事し、翌7日から14日まで爆心地で死体の収容や焼却作業を行いました。後日、義三はその時のエピソードを手記に残すことになりました。2006年、代表者は当該手記を基に小説「ヒロシマの九日間」を出版し、当該小説がきっかけとなって本活動を始めることになったのです。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

活動において最も大切なことは、活動の提供者および受益者双方に「楽しい」という思いがなければ拡大や継続はあり得ないと思っています。特別授業を受ける子供たちにとっても、授業が楽しいからこそもっと知りたいという興味が沸き、この興味が勉強という行為に結び付きます。つまり、やる気があるから出来るのではなく、出来るからやる気が出る、ということの例えと同じです。また、話す側の私たちにとっても、特別授業を行うことに楽しさがあってこそはじめて遣り甲斐や喜びが生まれます。

実は風化の要因はまさにここにあり、人々が楽しいと感じることに絶対に風化は起こりません。ディズニーランドが風化しないのは「楽しい」が最大の要因です。反して、人々が楽しさを感じないこと、ネガティブなこと、さらには思い出したくない嫌なことに風化が起こります。

ゆえに、特別授業を受講した子供たちから「楽しかった」とか「感動した」というポジティブな言葉が発せられることが私たちにとって最大の褒め言葉なのです。原爆や戦争に対して「楽しい」「感動する」という言葉は不謹慎と思われがちですが、本当に不謹慎なものであれば学校間の口コミで活動が拡大することなど絶対にあり得ません。

今後の夢と目標を教えてください

上記した義三が被爆地から爆心地まで進んだ行程を「義三ロード」と呼んでいます。(弊法人のホームページに義三ロードの地図を掲載しています) 特別授業の物語は義三ロードで生まれた様々なエピソードの集積です。私たちは特別授業を通じて子供たちに義三ロードを広めたいと思っています。

2020年、東京オリンピックに世界中から訪れた人々が、東京駅から西に向かう新幹線の中で義三ロードの地図を広げ、これから向かう義三ロードの話題で花が咲いている・・・・そんな光景を見た隣席の人々が 「おっ、あなた方も義三ロードですか?」 「えっ、あなた方もですか?」 「では一緒に歩きましょうか・・・」 と、見ず知らずの人々が友達になっている、私たちはそんな楽しい夢を真剣に抱いています。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

原爆先生の特別授業は、小学校だけでなく中学校・高校にも拡大する計画です。地域も、2016年度には関東・東海・北陸に拡大し、可能であれば世界中に広げたいと願っています。

今、最も憂慮しているのは講師の養成です。現在2名の講師で年間150校の特別授業にあたっていますが、事業拡大に応じて全国に講師が必要になります。また、各地において支部を運営するスタッフも必要です。現在は私をはじめボランティア活動として行っていますが、特別授業の拡大に賛同いただける企業の支援や、また、WIN-WINの関係を構築できる企業等が増加することが見込まれ、近い将来には活動に見合う対価をお支払できることになると期待しています。

講師やスタッフに年齢や経験に制限を設けていませんので、興味がある方は遠慮なくお問い合わせください。特にリタイアされた方々のご参加を期待しています。
 
尚、当該活動への参加に関しては次のことを必ずご承知おきください。
 【非核、平和、反戦等の思いを抱くことは自由ですが、自身の思いを外部に表すことは一切厳禁です。もし、そのような行為があれば即時当該活動から辞退していただきます】

取材者のコメント
古川勇樹 原爆や戦争についての授業で、子供たちと同年代の少年が被爆地で活躍する物語として語るという発想に驚いた。戦争や原爆について、その悲惨さ、残酷さを強調するばかりでは、大事なことだとは分かっていても近づき難いテーマだと感じるものかもしれない。また、平和が大切といった結論を話すだけでは、子供たちからするとあまり印象に残らない授業となるかもしれない。一方、客観的に分かっている事実を伝えながら子供たちの興味を引き出し、その後は子供たちが自ら想像力を働かせてたくさん考える授業は、充実感や達成感とともに強く心に残ることだろう。
団体・プロジェクトの概要
代表者 池田眞徳
住所 東京都武蔵野市緑町1-3-28-201
TEL/FAX TEL 0422-38-4645  FAX 0422-59-0304
お問い合せ ikeda@hiroshima9.com
URL http://www.hiroshima9.com/