育児と就労を両立できるコミュニティで「育てやすい環境」を地域に
特定非営利活動法人ピースジャム
活動エリア | 宮城県気仙沼市 |
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ジャンル | その他 就労支援・労働問題 |
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育児と仕事を支え合える社会の新たな居場所をつくり、現在は9名の母親が子連れでキッズルームと授乳室のある工房へ来ています。ここでは本コミュニティの持続性を高めるべく団体名と同じジャム「ピースジャム」と育児期に役立つ万能布「ベビーモスリン」の製造販売をしております。
また現在は地域に開放する遊具付き広場と育児期に特化したカフェ、ならびに企業と他団体との連携によって作られているツリーハウスを同時建設中で、グランドオープンは8月の頭を目指して進めております。こちらは寄付金と工房の収益を中心に運営されていく見通しです。
東日本大震災発災の翌日には食料を先頭に生活用品が一斉に枯渇しましたが、その中で母乳の出ない母親や住居を失った親子に出会い、同日にミルクやオムツといった物資支援とニーズ調査を行ったことが団体発足の機会となります。
15名の団体スタッフと「とにかく赤ちゃんのお腹は空かせない」というスローガンのもと物資支援活動をしてきましたが、ニーズ調査により分かったことは、震災の影響だけではなく、そもそもの地域の育児環境を変えなければ「産み辛く育て辛い」という地域の抱える悩みの現状でした。地域と家庭が分断された社会では子育てするにも育児の負担を母親1人が背負い込みやすく、就労賃金の低い本地域では育児の合間を縫ってパートで働いても将来を見通すことが難しいという現状です。また、働くというのは単に稼ぐ場ということだけではなく、社会的な居場所としての意味もありますが、出産後〜育児期間は社会から遠ざかってしまいがちです。つまり多様化するライフスタイルの現代では潜在的な出産を望む家庭にとっては住みにくく、将来設計をイメージしにくい事に繋がっている実態があると理解しました。
それは現場だけの声ではなく、若者の流出率が80%と県内で2番目に高いことや、年々出生率が減少している気仙沼市に過疎地域という状態で具体的に現れています。そのため私たちは母親たちと一緒に「育てやすい環境」を地域に整えていきたいと思い、未就学期の育児期間に「職場」「育児の場」「育児の情報共有の場」「母親のパーソナルタイムの場」「子どもの遊び場」を複合的にコミュニティ化することで母子の社会的生存基盤をつくりたいと考え実践してきました。
団体の活動には地域住民や母子、支援者さんやボランティア参加者、そして企業や団体や行政等が関わって成立していますが、私見ではそういった関係性を分類的なつながりとして感じておらず、言うなれば想いを共有する1人1人の同志だと思っています。想いを持って関わってくれるおかげで、一つまた一つと活動が具体的な形となっていくことは感謝であり喜びでもあります。
また現場では2011年に働き始めた初産の妊婦さんが、今夏で3人目の出産をむかえます。事業を通じて母や子やスタッフや自分個人が徐々に成長していく様子は、ハイハイから走り回る子供の成長のように時間を通じて現場で体感することができます。その日々にはハッとする変化や驚きはあまりありませんが、現在の小さくとも微笑ましい日常は4年前には想像できなかった光景ですので、振り返るとハッとします(笑)。
個人的な遣り甲斐としては、課題の解消のために活動するのではなく、豊かさを追求することがモチベーションになっています。
気仙沼の地域コミュニティは世代や性質によって分類・分断されていますが、今後は子供を中心に横断的につなぎ、垣根のない地域コミュニティの創出と活性化を狙います。また、現在行っている育児と就労を両立できるコミュニティを3年後にはビジネスモデルまで発展させ、より多くの雇用につなげると共に育児期の雇用を地方の事業所が確立できるよう活動していきます。
東北に赴けなくとも母子の暮らしを共に支えていきたい方や、一緒の想いで活動に関わっていきたい方など、サポーター様、会員様募集中です。また、ジャムやベビーモスリンの販路先のご紹介や、団体リーフレットの設置に協力していただける方がおりますと大変助かります。一緒に働きたいという方がおりましたら、ぜひ弊団体事務局までお問い合わせいただけますと幸いです。
取材者のコメント | |
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古川勇樹 | 過疎化に悩む地方自治体の多くでは、特に若い女性の流出が深刻で、出生率が下がり人口減少に歯止めがかからないという問題を抱えており、女性たちが残りたいと思う環境を整えることは地域にとって重要なテーマとなっている。だが、子育てしやすい環境作りという時に、保育施設や支援金という対策はあっても、母親の就労機会や社会的な居場所についてはあまり対策されていないように感じる。この団体の活動のように、育児と就労が両立でき、育児期の母親の就労場所や社会的な居場所が作られ、母親が生き生きと暮らしていける地域に、女性はひきつけられることだろうと思った。 |
団体・プロジェクトの概要 | |
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代表者 | 佐藤 賢 |
住所 | 宮城県気仙沼市落合254-1 |
TEL/FAX | 0226-29-6583 |
お問い合せ | peacejam.kes@gmail.com |
URL | http://peacejam.shop2.makeshop.jp |
主な受賞歴や実績
・2011年,政府の特別処置を得て日本に初めて液体ミルク10,000個の導入に成功し、石巻市と気仙沼市の病院に配布する。
・南三陸町、気仙沼市、陸前高田市、大船渡市、釜石市の乳幼児のいる家庭約400世帯に物資支援を継続的に行う。(現在は生活困窮の家庭にのみ物資支援を行っています)
・育児をしながら働ける就労形態が世界の有識者に評価され、2012年「International Microfinance Awards」に日本人として初選出される。
・現在気仙沼市の「地方創生戦略会分科会」や「気仙沼まちづくり推進委員会」の委員を務め、地域と共同でより豊かな育児環境の創出を画策している。(理事長 佐藤)