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特定非営利活動法人 おもしろ科学たんけん工房

東京都

学校任せにしない教育で子どもを育てる

団体名・プロジェクト名

特定非営利活動法人 おもしろ科学たんけん工房

特定非営利活動法人 おもしろ科学たんけん工房の写真

活動エリア 横浜市内全域および藤沢市の一部で活動しています。
ジャンル 教育・学習支援 

主な受賞歴や実績

助成金:こどもゆめ基金;大きくなる樹(日立);東京応化科学技術振興財団助成金
横浜市との協働事業モデル事業(平成17年度~19年度)

この活動について教えて下さい

子どもたちを対象とした「楽しい科学体験活動(実験・観察・および科学工作)の場」を提供する活動です。科学の知識を教えるのではなく、体験と遊びを通して、科学を学ぶ楽しさを体得してもらい「理科大好きな子ども」を育てます。
地域の教育力を高める取り組みです。個人でやるのではなく、行政の施策として実施するのでもなく、「市民活動」として、ボランティアのグループによる「体験学習の場づくり」をすすめます。
科学体験活動を担うスタッフを発掘・養成する研修活動も、車の両輪として行っています。

5地域(※)に分かれて実施していますが、全体としては自前の「おもしろ科学体験塾」受講児童の定員24人で、1会場で月に1回ペースで実施しています。実施できる「テーマ」(レパートリー)は、物理系、化学系、生物学系 併せて70以上あります。定例的な実施会場は25カ所位です。おもしろ科学体験塾の実施回数は、全体では年間150回以上になりました。
公共施設や学校からの要望による「出前塾」は年間50回以上受注を受けています。
公共施設、学校(PTA含む)、地域(商店街含む)が主催する様々なお祭り的行事(イベント)への「コーナー出展」は年間30回以上実施しています。
(※)藤沢グループ、横浜東グループ、横浜西グループ、横浜北1グループ、横浜北2グループの5地域グループ

活動の中でのボランティアスタッフの役割(実施体制)は会場担当、広報担当、受付担当、会計担当、実験・工作の主任指導員・サブ指導員、児童生徒へのアシスタントなど、多様な役割があり、みなで分担します。最も直接的に子どもと接するのは、子ども4人のテーブルに一人の割合で付くアシスタントの役割です。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

1980年代、日本の高度成長が止まり、バブル経済に浮かれたころから、「理科離れ」が心配されるようになりました。「モノ作りよりも、ITだ」とばかり、理工系の大学生が、競って証券会社に入社するというようなことが起こりました。製造工場が国内から、韓国、台湾、中国、東南アジアへと移され、技術も移転してゆきました。
一方、生活の現場では、科学技術の成果から生まれた、ハイテク製品に囲まれていながら、却って、それらのモノの中身がブラックボックスになってしまい、モノづくりの場への興味も、モノづくりへの素朴な体験の場も、家庭から失われてゆきました。さらに「ゆとり教育」の旗印で小学校の理科の授業時間が大幅に減らされるなど、一連の環境変化があり、そこに危機感を抱き、何とかしなくてはと、感じる人たちが、子どもたちのための理科実験や理科工作の場づくりを工夫するようになっていました。
私も、技術系ではありませんが、高度な技術を活用したモノづくりの会社のOBとして、何かしなくてはという思いがありました。その時期、1998年頃、市民の力で、何かしたいという試みの一つである、「発見工房クリエイト」(代表=橋本静代氏)に出会いました。私はまずそのお手伝いをし、その後、友人と二人で、横浜と藤沢で「おもしろ科学たんけん工房」を立ち上げました。
理科に限らず、「教育」を学校任せにせず、地域の民間人の力で補って行くべきだとの思いは、常にありました。また受験のための勉強に翻弄されている、社会状況にも疑問を感じていました。本当の学習は単に知識を覚えて、試験に合格すればよいというようなものではなく、自ら手足を使い、自分の目と耳と頭をフルに使って考えるような習慣を、身につけるべきだ…ということから、体験塾こそ、その解決の柱だと考えました。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

科体験塾に参加した子どもたちが見せてくれる笑顔と「また来たい」のひとこと…これにつきます。
また、この活動に共感して新たにスタッフが参加してくれることも大きな喜びです。

今後の夢と目標を教えてください

子どもたちが自転車でゆけるところに、あまねく「科学体験塾」がある状況を創り出すことを目指します。(横浜市内で言えば、1区に最低3箇所)
今は、体験塾の場(教室)も、打ち合わせの場所も全て、学校や、公共施設を借りています。 団体の事務所や、部品加工や予備実験のための工房も、物置や倉庫も全て「会員個人の自宅」です。それも決して悪くはないのですが、会員が200人にもなった現在、みんなの心の拠り所となるような「場所」があると良いですね。将来は、何とかして拠点となる施設(建物または部屋)を持ちたいです。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

この活動は、子どもたちへの学習支援の場というだけではありません。同時に中高年齢者のための「生きがいの場づくり」でもあります。長い人生の中で培ってきた人間性や哲学や智恵、さまざまな経験・能力を活かして、次世代の子どもたちの成長に役立てることが、工夫次第で可能です。その結果、子どもたちの笑顔から、他では得られない「生きる喜び」をもらうことができます。科学の知識を持っていることは、必ずしも必要ではありません。むしろ先入観なしに、子供たちと一緒に、理科を一から学ぶ直すという気持ちで活動すればよいのです。子どもと接することが好きだ。子どもが好きだということが、最大の資格です。
    

取材者のコメント
古川勇樹 理科・科学といった分野は授業で教科書を開いているだけでは、理解度が深まらない分野である。その科学を勉強とは違い体験や遊びと通して学ぶことで、子どもたちは広く科学に対しての好奇心を高めていくことができる。その中から未来の科学者が育っていくことも期待できるだろう。児童たち参加型の体験塾だからこその良さは、経験することで単なる知識に終わらせないという点にある。また活動を支援するボランティアスタッフ自身も、子どもたちに知識を与えるだけではなく、子どもたちと関わっていく中で得られるものがあるということに感銘を受けた。
団体・プロジェクトの概要
代表者 代表理事 安田光一
住所 横浜市南区中里2-12-5
TEL/FAX 045-710-2679
お問い合せ khyasuda@ga2.so-net.ne.jp
URL http://www.tankenkobo.com/