産業間エンゲージメントで業種を越えたつながりを
公益社団法人 国際経済労働研究所
活動エリア | 海外:マレーシア、タイ、中国、シンガポール、インドネシア、ベトナム、フィリピンなど。 国内:全国 |
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ジャンル | その他 |
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共同調査や研究プロジェクト、研究ワークショップなど取り組みは多岐にわたりますが、現在力を入れている取り組みの一つに、「産業間エンゲージメント(関与)」ワークショップがあります。「産業間エンゲージメント」とは、他産業の問題を人ごとにせず、自分も関わる問題として考え、社会の一員として一緒に問題解決していくという運動です。例えば、製造業では、取引先に確かな材料や部品を供給してもらえなければ、よい製品は作れません。この場合、適正なものを適正な価格・納期で受発注するという「お互いさま」の精神に基づいた行動によって、それぞれの産業を支えることができます。また、一見似たような機能の安価な粗悪品と、適正な価格の良質な製品が並んでいた場合に、将来、安全・安心なものを手に入れられる社会を持続するために後者を買う、ということも、消費者としてできることといえます。会社間では難しい問題でも、労働組合を通じてならば、業種を超えて支え合うことができます。このワークショップでは、組合員が行動に移せる産業間エンゲージメントの案を出し合い、他産業の組合員が「協力して何とかしたい」と共感するエンゲージポイントを明らかにし、研究所ホームページでも公開し、社会に発信していく予定です。
研究所の発足は1948年にさかのぼり、労働組合の自立的な労働運動のための調査研究機関として、共同で設立されました。設立以降、自分たちの知りたいことや必要な情報を、手分けしてみんなで調べて活動に活かしていこうという「運動としての調査研究」の実践を掲げて、様々な活動を行っています。現代社会においても、社会には情報が溢れていますが、本当に正しい情報、必要な情報がないことも多く、自分たちで調べる、ということの重要性は高まっているといえます。上記の「産業間エンゲージメント」の取り組みは、先だって行われた、日本の産業の強みや弱みを検討する研究プロジェクトにおいて、各産業には海外でも負けない強みや、みんなで支えなければならない弱みがあるものの、他産業の組合員はおろか、自分の属する産業の組合員も知らないという現状が明らかになりました。これを受け、お互いに支え合うためには具体的にどのような行動が必要かを考えるために、立ち上げられたワークショップです。
社会運動中で、労働運動はマイナーなものと思われがちですが、実は労働組合は、職場内外の問題解決に取り組める集団であり、社会の中でも、集団としての力や社会に与える影響も大きいはずです。組合員自身がこのことに気付いて、考えや行動に変化がみられた時、喜びや社会運動の可能性を感じます。また、自分の属する組合のためだけではなく、産業全体や、非正規労働者を含めた労働者、ひいては社会をよくしたいという思いで活動されている場面に合うことが多く、それを調査研究の面から支える立場にあることに大きなやりがいを感じます。
研究所では2014年から5年間の中期計画を策定し、新たな研究プロジェクトや共同調査を予定しています。例えば、ON・I・ON3(オニオンスリー)プロジェクトは、「生きがい」をテーマとしたもので、2015年に発信しました。そのほか、労使コミュニケーション、企業の制度・施策と働きがい、社会・政治への参画意識、などをテーマとしたプロジェクトに着手しています。各事業を通じて、社会をよくすることに貢献していければと思います。社会運動に資する、労働調査運動の中心として、このような取り組みが世の中になくなった今だからこそ、運動の再構築は研究所の存在意義であり目標だと思っています。
社会的な課題は山積していますが、研究所の推進するアプローチ、つまり「運動としての調査研究」(労働調査運動)という形であれば、解決が可能になると感じています。誰かにやってもらうのではない、自分たちで解決していく、という意識は、この先ますます重要になるのではないでしょうか。私たちが社会のために取り組めることは沢山あります。
各団体からは、共同研究や共同調査への参加や会員(正会員、購読会員)として研究所に関わっていただくことができます。事業に興味のある方は、研究員やアルバイトの形で、関わっていただくことも可能です。研究所には、各産業の主要企業(組合)の意識データがあり、この膨大なデータを用いて研究を行い社会に還元することができます。とてもやりがいのある仕事ですので、興味のある方はお問い合わせください。
「産業間エンゲージメント」は、組合員であるか否かにかかわらず、将来のために、みんなで取り組んでいかなければならない課題です。身近なところから一緒に始めていきましょう。
取材者のコメント | |
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古川勇樹 | 産業間エンゲージメントにより、他業種間の力関係に上下が次第になくなり、よりフェアな取引が出来るようになれば、一部の企業だけが利益を得るのではなく社会全体で見ればより公平な取引となる。お互いさまとは日本では昔からよく言われている言葉でもある。特に日本は古くから加工産業が盛んであり、技術力はあるが、資源力に乏しい国である。だからこそ、自国産業を盛り上げるための組織が必要となる。当団体の労働問題の研究が、今後も日本の産業の発展に貢献していくことを期待したい。 |
団体・プロジェクトの概要 | |
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代表者 | 理事長 本山 美彦 |
住所 | 大阪市中央区北浜東3-14 大阪府立労働センター4階 |
TEL/FAX | 06-6943-9490/6-6943-9540 |
お問い合せ | こちらからお問い合わせください。 http://www.iewri.or.jp/contact.html |
URL | http://www.iewri.or.jp/ |
主な受賞歴や実績
・第30回共同調査ON・I・ON2(組合関与と働きがい)
参加組織約300、参加組織人員230万人以上
・第42回共同調査DURIAN(海外ワーク・モティベーション調査)
参加組織約260組織、参加組織人員42万人以上
・組合員政治意識総合調査
戦後、主要な国政選挙に際して実施。幅広い産業からの参加があり、現在も拡大している。
詳しくはこちらをご覧ください。
http://www.iewri.or.jp/pastworks/index.html