プロの音楽家が被災地に音楽を届ける
公益財団法人音楽の力による復興センター・東北
活動エリア | おもに宮城、岩手、福島 |
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ジャンル | その他 |
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東日本大震災で被災した人びとと音楽をつなぐ仕事をしています。「音楽を聴きたい」というご要望にお応えして、仮設住宅や復興公営住宅、学校、お寺などさまざまな場所へ出向き、小さな編成の室内楽をお届けする「復興コンサート」を軸として、被災した方々とプロフェッショナルのクラシック音楽家が音楽を通じて交流し、生き生きとした時間を共に過ごす場をつくることをミッションとしています。復興コンサートの出会いが縁となり、被災高齢者による「みやぎの『花は咲く』合唱団」や、復興公営住宅での歌声喫茶「うたカフェ」という定期的な活動も生まれました。
これらの活動は、国内外から寄せられたご寄付と、有償ボランティアとして協働してくださる音楽家の方々ならびにカメラマンのご厚意、そしてさまざまな復興支援団体および個人のご協力に支えられて、続けることができています。
東日本大震災から2週間後の2011年3月26日、仙台フィルハーモニー管弦楽団と市民有志は、任意団体「音楽の力による復興センター」を立ち上げ、最初の「復興コンサート」を行いました。芸術活動が全国的に自粛されていたあの時期、「不謹慎ではないか」「音楽なんて無力だ」という不安と、「それでも鎮魂の祈りを捧げたい」「少しでも息抜きになれば」との切なる願いが込められた演奏会でした。私たちを駆り立てたものは、過去の災害や戦争によって傷ついた人々の心を癒し、再生への力を与えてきた「音楽の力」への信頼と、このまちで音楽に携わる者としての使命感でした。
取るものもとりあえず急遽設立した組織ではありましたが、音楽を通して、震災の犠牲になられた方々を鎮魂し、多くのものを喪った人々の心に寄り添うことを目標に、被災地域に直接出向いて音楽を届けていくことを決意しました。
2014年度には公益財団法人の認定を受け、これからも地道に息の長い活動を続けていきたいと考えています。
人びとが音楽の生の力に触れて笑顔になったときです。演奏を聴いたり、大きな声でみんな一緒に歌ったりすると表情も顔色もいきいきしてきます。笑顔に限らず、胸の奥に凝り固まっていた思いがあふれて涙を流す方や、懐かしい歌に誘われて口ずさむ方、問わず語りに思い出話をする方などを見ると、音楽が心に届いたことがわかります。それから「クラシック音楽はこれまで聞いたことなかったけど、意外と良いもんだね」と言われると嬉しいです。そんなことがこの活動を続ける励みになっています。
今まで行けていない場所、特にこれまで文化的な支援を受けられなかったようなところへ復興コンサートをお届けにいきたいです。
私たちの行う「復興コンサート」活動について、音楽家の一般募集はしておりません。しかし、音楽を愛する人たちがこのような活動をご自分たちで、それぞれの形で行うのもよいと思います。私たちが肝に銘じているのは「善意の押し付けや押し売りにならないこと」です。常に相手先から「音楽を聴きたい」という要請があってからコーディネートをします。マスコミで取り上げられた著名な被災地では「慰問疲れ」を起こしていました。反対に、マスコミに取り上げられない被災地では慰問活動もないままです。その隙間を、音楽を愛する人たちがそれぞれの方法で埋めていくようなことをしていただければいいなあと思います。
取材者のコメント | |
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古川勇樹 |
「慰問疲れ」を起こしている場所がある一方で慰問活動が全くない場所もあるなど、被災地の中で差が生じているという被災地支援の現実をお話しいただき、「善意の押し付けや押し売りにならない」よう、「音楽を聴きたいという要請があってからコーディネートする」という活動方針に大いに納得した。これまでなかなか支援が届かなかったところで、音楽を聴きたいと待っている人たちはたくさんいることだろう。これからもプロの演奏家による本物の音楽と、復興を応援する気持ちを、被災地の隅々まで届けてほしいと思った。 |
団体・プロジェクトの概要 | |
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代表者 | 代表理事 大滝精一 |
住所 | 仙台市青葉区錦町1-3-9 仙台市役所錦町庁舎1階 |
TEL/FAX | 022-797-0233 |
お問い合せ | on-chika@live.jp |
URL | http://ongaku-fukko-tohoku.jp |
主な受賞歴や実績
ウィーン・フィル&サントリー音楽復興記念賞(第1回、第2回)