立場の弱い子供たちを支える
NPO法人 教育支援グループ Ed.ベンチャー
活動エリア | 神奈川県大和市(一部厚木市)(必要に応じて全国どこでも) |
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ジャンル | 医療・福祉 教育・学習支援 |
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「Ed(エド).ベンチャー」は、2000年代に入り深刻化しつつある格差社会の中で、「社会資源を持たざる弱い立場の子どもたち」と、それを支える学校や先生方を支援するために、大きく2つの活動を展開しています。
一つは、学校支援活動です。学校や教師を広く支援する活動であり、具体的には以下の4つの事業を行っています。
①理論学習会(原則月1回):教師や教職志望の学生、教育に関心を持つ市民の方々を対象に、学校の問題や学校を取り巻く社会の問題や今後の社会状況について、学校にかかわって考えておく必要があるテーマについて学習しています。
②授業研究会(原則月2回):外国にルーツを持つ小学校高学年の児童を対象に教師が授業を行います。児童の力を増し強めるだけでなく、教師自身が外国にルーツを持つ子どもに対する指導力を向上させていくことも目指しています。
③教育講演会(年1回):教師、教職志望者、市民の方々を対象に、現在の学校や教育が抱える諸問題について理解を深めるために、外部講師をお招きし、講演会を開催します。
④学校相談・教師相談(随時):学校や教師(場合により保護者)からの相談に対応します。相談内容によって対応するグループを編成し支援に当たります。
もう一つは外国人支援活動です。外国人の大人(保護者)を対象とした活動(①)と外国人の子どもを対象とした活動(②~⑤)があります。
① お父さんとお母さんのための日本語教室(週1回):外国人の子どもの保護者を対象としています。子どもの学校生活を把握できるような日常会話を中心にしつつも、仕事で使われる言葉や正式な場での会話や言葉なども合わせた指導を行います。日常生活上の相談にも可能な限り対応しています。
②保証人事業:外国人の子どもが大学進学する時に外部奨学金を受けようとする際、保証人を用意できない場合、「保証人グループ」を構成して保証人を引き受けます。対象者は年2回開催される報告会で現状を報告し、生活状況と返済の確認を受けます。
② すたんどばいみー基金の会:Ed.ベンチャーが支援する外国人当事者団体「すたんどばいみー」などで活動する大学生および大学院生に対して、大学に関わる費用の貸借に関する事業です。報告会を開催し状況を確認すると同時に、毎月個別面談を実施して、学生生活の支援も行います。
④子どもの居場所・学習教室(週1回):外国人の子ども(就学前~高校生)を対象として学習支援を行う教室です。大和市と厚木市の2か所で教室を開催しています。日本に来たばかりで日本語が十分身についていない子どもに対しては日本語指導も行っています。
⑤当事者活動支援(随時):「すたんどばいみー」をはじめとする、外国人青少年当事者による活動に対して、活動費の補助、助言、協力を行います。
「Ed.ベンチャー」は、現在、外国人の当事者団体として活動している「すたんどばいみー」が2001年に「外国人の子ども達の自治的運営組織」として立ち上がった時に、かれらの応援団として集まった教師・市民・研究者を核として、2007年に立ち上がりました。私たちは、2000年代以降の新自由主義が世界を席巻する中で生み出される貧困は、日本社会の中でも、特に「社会資源を持たざる弱い立場の子どもたち」に襲いかかっていることを憂えています。そこで、そうした社会から取りこぼされる子どもたちに微力ながらも支援を続けること、他方、そうした社会に異議申し立てをすることを、この2つを大きな柱として活動しています。設立経緯については、清水睦美・すたんどばいみー編『いちょう団地発!外国人の子ども達の挑戦』(2009年 岩波書店)をご覧ください。
接している子どもが楽しそうに学習・遊び・生活を続けている姿を目にすると時に大きな喜びを感じます。またなかなか口をきいてくれなかった子どもが、関わりを続けていく中で、ポツリポツリと自分のことを語ってくれるようになったとき、この子どもにとって、その場が安心して話ができる場として認められたのかなと、少しほっとした気持ちになります。もちろん、それで終わりではなく、そこから子どもの自立に向けた取り組みが始まっていきますが、まずはつながれる関係をつくることが重要で、それができていく時に喜びを感じ、それが次の活動や仕事の原動力になります。
究極的には私たちが取り組んでいるような教育支援活動がなくても外国にルーツを持つ子どもたちや若者たちがなんら疎外されることなく学ぶことが保障され、自らの夢や目標に向けて歩めるよう、周りの大人たち、そして社会が変わっていくことが目標です。
外国人の子どもをはじめとする「社会的弱者」に寄り添い続けてくれるという想いを持った方々に仲間になって欲しいと思います。「外国人」という言葉を聞くと、真っ先に「言語」あるいは「外国語」の支援が頭に浮かぶと思います。確かに何らかの言語が操れるということはとても大事ですが、「言語」ができればすべてがうまくいくわけではありません。また、かれらの問題を「言語」の問題のみと考えることは、かれらを日本人化すること/させることにつながり、それは日本社会から多様性をうばう方向性ともつながって行きます。
外国人の子どもたちが日本の学校や社会で生活する中での「悩み」や「苦労」そして「不安」に寄り添い支えつつ、そうした「悩み」や「苦労」を子どもたちに感じさせている日本社会の反省的に振り返っていただける方に是非とも関わっていただきたいと考えています。
取材者のコメント | |
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古川勇樹 | 外国にルーツを持つ子どもたちが、日本社会では弱者となりがちであり、彼らには言語だけでなく教育の場を含めた包括的な支援が必要であるというお話を伺った。言語ができないことや教育を十分に受けられないことは、子供たちが将来のために必要な様々な資源を獲得する上で大きな障害となってしまう。この重要な時期を日本で過ごすことで「持たざる」弱者にさせてしまってはいけないと強く思った。活動をされている皆さんの、子供たちの生活全体を考えて、その悩みや不安に寄り添っていこうという、彼らを見守る暖かいまなざしを感じた。 |
団体・プロジェクトの概要 | |
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代表者 | 浅沼 蓉子 |
住所 | 神奈川県大和市中央林間3-16-12グリーンコーポ中央林間107 |
TEL/FAX | 046-272-8980 |
お問い合せ | toiawase@edventure.jp |
URL | http://www.edventure.jp |
主な受賞歴や実績
2012年 第25回 神奈川地域社会事業賞 受賞(神奈川新聞社・神奈川新聞厚生文化事業団)