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NPO法人 患者スピーカーバンク

東京都

患者の語りで社会を変えてゆく

団体名・プロジェクト名

NPO法人 患者スピーカーバンク

NPO法人 患者スピーカーバンクの写真

活動エリア 都内を中心に全国
ジャンル 医療・福祉 

主な受賞歴や実績

◆活動実績
・2011年2月26日に設立以来、2か月に1回のペースで「患者スピーカー育成研修」を開催。
・現在約50名の患者スピーカーが登録。正会員数約60名。(2015年度8月現在)
・2014年度講演受託案件数:23件(大学の医療系学部、製薬企業、地方自治体等より受託)
・2015年2月 シンポジウム「患者の語りを社会に活かす」を開催(140名参加)
 ※クラウドファンディングにて開催資金を調達。総額50万円を越えるご支援をいただきました。

◆メディア掲載実績
・医薬経済 2014年2月号 鈴木理事長の取材掲載
・読売新聞 2015年1月8日夕刊こころ面「闘病体験生かす 患者の語り」に香川副理事長の取材掲載
・高齢者住宅新聞 2015年3月11日「患者の声で社会変革」にシンポジウム(2015年2月1日開催)および鈴木理事長の取材掲載
・ロハスメディカル 2015年4月号 特別企画「患者の語りは社会を変えるか」 http://lohasmedical.jp/
など、多数掲載

この活動について教えて下さい

私たちは、患者の語りで社会を変えることを目指し、患者スピーカー(※)の育成と患者スピーカーの講演を生かした企画の提案・実施を行っています。とくに、患者スピーカーの育成は、体系的な研修プログラムにもとづき疾患を問わず受講できること、依頼者の企画の成功にコミットするために、患者スピーカーの講演作成サポートやブラッシュアップ研修などの仕組みで団体として患者スピーカーの語りの内容やプレゼンテーション力を高める取り組みを行っている点は、他団体に類を見ない特徴です。

※患者スピーカーとは…
患者・障がい者という立場から、一般市民、医療系学生、医療者の方などに向けて、講演・講義を行う者をいいます。私たちが紹介する患者スピーカーは以下のような特徴があります。
(1)病気や障害の種類を限定しない
(2) 病気や障害の体験を講演するための体系的な研修プログラムを受講している
(3)個人の体験に基づく主観的な世界だけを語るのではなく、医療の現状について学び、客観的なことも含めて話ができる
(4)講演前にブラッシュアップ研修を受講し、自己研鑽を行う

患者スピーカーは「患者スピーカー研修会」を受講した上で、患者スピーカーバンクが認定しています。

どうしてこの活動をはじめたんですか?

私たちは、社会全体にある「病気や障がいはマイナスである」という発想によって、病気や障がいを持って生きる患者が精神的・社会的に困難な状況にあること、そして、患者の声を医療に生かそうとするシーズ、ニーズともにあるにも関わらず、十分に生かせていないという社会的な課題を解決したいと思い、患者スピーカーバンクを立ち上げました。

■社会全体の根底にある「病気はマイナスである」という発想
皆さんは「病気はマイナスである」と思われたことはないでしょうか?意識・無意識を問わず、社会全体に横たわっているのではないかと思います。超高齢化が進み慢性疾患患者が増加するなか、病気があっても身体的・精神的・社会的に充実した生活を送れることは社会全体の課題です。しかし、病気に対する周囲の無理解や偏見だけでなく、病気によって患者自身の自己評価が低下してしまうは、病気とともに生きる人生を更に困難なものにしているのではないでしょうか。

■患者の言葉と行動で社会を変える 〜「生活者」としての等身大の語り・多様な語り〜
この課題の解決のためには、患者を含む社会全体の意識を変える取り組みが必要です。それには、患者自らが「病気があっても幸せに生きる姿」を見せ、メッセージを発信することが有効であると私たちは考えました。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、すでに患者会の活動等を通して、患者が一生活者として等身大の経験と想いを伝える活動があり、聞き手の闘病生活や情緒面を支える上で大きな役割を果たしています。それは、医療者の教育や卒後研修、製薬企業等の社員研修にも広がり、患者を招いて講演を聞くことでより良い実践や商品開発や適切な情報提供に生かそうとされています。しかし一方で、患者の語りは多様なシーズがあるにも関わらず、その活動の特性から、必ずしも聞き手のニーズが満たされていない現状があるのです。

■なぜ、患者が語ることが難しいのか
私たちは、その大きな要因は、「患者の語り」のinput・outputのサイクルが効果的に機能していないことにあるのではないかと考えました。つまり、「患者の語り」を依頼する側も依頼を受ける側も困難に直面しているということです。

例えば、依頼者側にとっては、講演できる患者を効率的・効果的に探す仕組みが存在せず多くは機縁法によるため、講演できる患者を探すことが難しいということがあります。一方、一部の患者会には講演者を養成するプログラムがあるものの、依頼を受ける患者の多くは独学で講演準備を行うため、その語りの質にはばらつきがあります。そのため、聞き手にとって効果的な講演を実施することが難しく、依頼者の目的を達成できないことも少なからずあるようです。また、「語りの質」の客観的な評価が難しく、講演する患者も適切なフィードバックを得られる機会が少ないということもあります。

■私たちが目指す社会の姿
以上のような課題を解決して、私たちは次のような社会を実現したいと考えています。
「病気とともに生きる人、一人一人の人生の価値に光が当たり、誰もが輝く社会」
・「病気や障害はマイナス」ではなく、「病気や障害も人生のプラス」と思える
・患者が「助けられる対象」でいるのではなく、患者を含む市民を「励ます存在」になる
・医療者をはじめとする患者を支える人が、自身の仕事にやりがいを感じられる

■私たちの使命
このような目指す社会を実現するため、私たちは、患者スピーカーの講演と活動する姿そのものを通して、病気や障害も人生のプラスにできることを社会に発信することを使命とし、活動を続けています。

この活動の遣り甲斐や喜びはどんなときに感じますか

「病気の体験・記憶は自分の人生にとってマイナスでしかない」、と思っていた方々が研修で学び、また実際にスピーカーとして講演をした際、聞き手より「とても多くの気付きがあった」「ためになった」という反応をいただき、「自分の辛くマイナスとしか思っていなかったことにプラスがあった」と感動されている姿を見た時です。

今後の夢と目標を教えてください

2011年にNPO法人を設立してから、今年で4年目を迎えます。当初、理事長の呼びかけに賛同した7名のスタッフから始まった活動は、多くの仲間に恵まれ、今では病気のあるなしに関わらず60名を越える会員の方々、そして支援者の方々とともに活動できるようになりました。

私たちはこれからも、「一人一人の人生の価値に光が当たり、誰もが輝く社会」というビジョンを大切に、思いを同じくする皆さんとともに歩んでいきたいと思います。たとえ病気になったとしても、誰しもが輝いて生きていけるということを発信し続けていくために、患者スピーカーとして活躍する仲間を増やし、この活動を社会に広められよう、スタッフ一丸となって研修会や企画の提案・実施を行っていきたいと思います。

私たちの活動に賛同していただける方々、思いを同じくされる方々に出会えると嬉しいです。

この活動に参加してみたいと思う人にひと言

・患者スピーカーになってみませんか?
私達と共に、ご自身の病気の体験と想いを話し、多くの方に気づきや学びを伝えていきませんか?患者スピーカーバンクでは育成研修を定期的に開催しています。
詳しくは当団体ホームページ、Facebookページをご覧ください。
◆ 公式ホームページ http://npoksb.org
◆ 公式Facebook  https://www.facebook.com/npoksb

・患者スピーカーを応援しませんか?
当団体の活動・運営をご支援いただける方々・企業の皆さまを募集しております。ぜひ皆さまのお力をお借りしたいと思っております。お気軽にご連絡いただけると嬉しいです!

取材者のコメント
古川勇樹 患者や障がい者としての闘病体験やその時の感情を、知らない人たちに向かって話すことだけでも大変なことであると思われるが、こちらの活動をされている患者スピーカーの皆さんは、講習を受け客観的な視点も持ち、自らの経験をより説得力を持って語ろうと日々努力されていると伺い、患者さんの生活の質や現在の医療を改善し向上させていきたいという真摯で強い思いが伝わってくるようだった。この患者スピーカーのお話を聞きたいと思う人たちもまた、現在の医療をよりよくしたいと行動する人たちであり、両者の意思疎通を促進するこの活動は大変有意義であると思った。
団体・プロジェクトの概要
代表者 鈴木信行
住所 東京都文京区根津1-22-10
TEL/FAX 03-3821-3933
お問い合せ info@npoksb.org
URL http://npoksb.org/